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一護が雨乾堂に入ると、そこはまるで倉庫のように箱が散乱していた。
その箱の形は様々で、かわいらしいラッピングを施した小さなピンク色の箱もあれば、
細長い紺色の小箱もある。
中でも目立つのは、党のようにそびえる大きな二つの箱だった。
一護はぎょっとしてその箱を見る。
明らかに一護の身長より高いその箱からは、甘い匂いが漂ってきた。
「ああ、一護。すまんな散らかっていて」
浮竹は頭をかきながら箱の影からひょいと顔を出す。
さらりと肩から白い髪が滑り落ちて緑色の瞳が一護を捉えると、
浮竹はその目を細めフッと微笑みを零した。
そんな浮竹の視線が恥ずかしくて一護はもう一度箱の山に目をやる。
浮竹も一護の視線を辿り、そしてちいさく微笑むと言った。
「これか?チョコレートだよ、部下から貰った」
心底嬉しそうな表情で浮竹は語る。
ということはこの二つの大きな箱は、おそらく仙太郎と清音からのプレゼントなのだろう。
それにしても多い。
一護はと言うと、チョコレートを食べたいのは山々だったが、プレゼントはすべて断ってしまった。
義理ならいいのだが本命チョコとなると、なんとなく相手に悪い気がして貰わぬ様にしていたのだ。
そのために、一護は浮竹に送られたチョコレートの山を睨んだ。
浮竹は優しい。きっとこの中には本命チョコもあるのだろう。何故、断らなかったのだろうか。
なんてくだらないことを考える。
いつも二人で雨乾堂にいるときには全く感じないのに、浮竹がどれだけ人に好かれているかを
こんな形で目の当たりにすると、一護の心内はとても複雑であった。
「これ全部喰うのかよ、一人で」
「? もちろん。わざわざ俺にくれたんだぞ? それに折角作ってくれたんだから」
その回答に一護はますます下唇を食む。
後ろ手に隠した小箱をぎゅっと握った。
浅ましいなとは思う。目の前で本当に楽しそうにプレゼントを眺める浮竹をみると、
いかに自分が馬鹿馬鹿しい考えをしているかがよくわかる。
一護は浮竹に「食いすぎるなよ」とだけ言うと、早々にその場を立去った。
「ああ、作るんじゃなかったぜ」
文机に放り投げた箱をわざとらしく忌々しげに睨む。
睨んだところでどうにかなるわけでもないが。
「きっと喜ぶぞ!」なんてルキアが言うから、一緒にチョコレートを作ってはみたものの
結局は渡せずじまいだった。
もうルキアは白哉にチョコレートを渡したのだろうか。それを考えると今からでも渡しに行こうか、
と一瞬考えたものの、しかしもう日も沈んで随分経つ。
それからしばらく悩んだ末、一人で結局食べてしまおうという結論に至った。
箱を開けると、すこし歪な形をしたチョコレートが4,5個、こじんまりと入っていた。
料理なんて、ましてやお菓子なんて簡単に作れるわけがなく。
ルキア曰く、溶かして固めるだけなのに何故お前はそのようなものが作れるのだ。だそうだが、しかしそれでも一生懸命作ったつもりだ。
「柄にもねぇこと、するもんじゃねぇな」
ため息交じりに呟くと、一気にそれを口に放りこんだ。
「いーちーご」
と同時に耳元で囁く声がした。
それは聞き間違うはずもなく、浮竹の声で。
「っ!ふ、ふふぃふぁふぇふぁん!?」
すぐ後ろを振り向けばいつもと同じ微笑を浮かべた浮竹が居た。
驚いて咽そうになる一護を面白そうに浮竹は見つめる。
そういう時の浮竹の顔は、一護には苦手だった。
というよりは直視できなかった。或いは、好き、と言うのかもしれないが。
「飲み込んでから喋りなさい、一護」
苦笑交じりに言うと浮竹は、一護の頭を撫でる。
浮竹は、一見硬そうに見えて柔らかい髪質のその髪を触るのが好きで仕方なかった。
一護は恥ずかしいやら、苦しいやらで、脈打つ鼓動や赤くなる頬を押さえることが出来ずに
俯いてしまう。
「一護? 悪かったよ、脅かせてしまったのはあやまる。すまん」
浮竹の表情が困ったような笑みに変わる。
一護はそれを察して、ごくんとチョコレートを飲み込むと
「大丈夫だから」と咳き込みながら答えた。
「いやすまんな。朽木にな、一護が俺にチョコレートを作った、って聞いたもんだから」
食べにきたんだけれど、そこまで浮竹が言うといよいよ一護の顔が曇る。
そんな一護の変化に気付いて、机の上の空の箱を見やり「あー」と
ため息交じりに意味のない言葉を浮竹は発した。
「食っちまったのか…?」
一護はしょんぼりと瞳を伏せ頷いた。
「だってあんだけプレゼント貰ってんだし…そんなに沢山チョコばっかりあったって、あんたも困るだろ」
拗ねたように少しばかり唇を尖らせて一護は言う。
しばらくきょとんと一護を見つめていた浮竹は、
徐々にその口の両端を持ち上げて、ついにはあはははと声を上げて笑い出した。
「バカお前、そんなことを気にして、折角作ったそれを自分で食べたのか?」
本当に可笑しそうに笑うものだから、一護は恥ずかしさもあって
眉を顰めて浮竹を睨む。
その視線に気付いた浮竹はゴホンと咳払いをすると
まだ顔に残るにやけを振り払おうとはせずに一護を抱き締めた。
「そりゃ、同僚や部下たちから貰えるのはとても嬉しいが、一護、お前から貰うのが、一番嬉しいに決まっているだろう?」
少し体を離して一護を見つめる。離された距離が勿体無くて、
一護は浮竹の胸のあたりをぎゅっと掴んだ。
浮竹はクスッと微笑むとその手を包み込むように自分の手をのせる。
「それに、まだお前のチョコは食べられるだろう?」
その言葉に一護が疑問符を浮かべた瞬間、浮竹は一護の唇に自分のそれを深く重ねた。
その箱の形は様々で、かわいらしいラッピングを施した小さなピンク色の箱もあれば、
細長い紺色の小箱もある。
中でも目立つのは、党のようにそびえる大きな二つの箱だった。
一護はぎょっとしてその箱を見る。
明らかに一護の身長より高いその箱からは、甘い匂いが漂ってきた。
「ああ、一護。すまんな散らかっていて」
浮竹は頭をかきながら箱の影からひょいと顔を出す。
さらりと肩から白い髪が滑り落ちて緑色の瞳が一護を捉えると、
浮竹はその目を細めフッと微笑みを零した。
そんな浮竹の視線が恥ずかしくて一護はもう一度箱の山に目をやる。
浮竹も一護の視線を辿り、そしてちいさく微笑むと言った。
「これか?チョコレートだよ、部下から貰った」
心底嬉しそうな表情で浮竹は語る。
ということはこの二つの大きな箱は、おそらく仙太郎と清音からのプレゼントなのだろう。
それにしても多い。
一護はと言うと、チョコレートを食べたいのは山々だったが、プレゼントはすべて断ってしまった。
義理ならいいのだが本命チョコとなると、なんとなく相手に悪い気がして貰わぬ様にしていたのだ。
そのために、一護は浮竹に送られたチョコレートの山を睨んだ。
浮竹は優しい。きっとこの中には本命チョコもあるのだろう。何故、断らなかったのだろうか。
なんてくだらないことを考える。
いつも二人で雨乾堂にいるときには全く感じないのに、浮竹がどれだけ人に好かれているかを
こんな形で目の当たりにすると、一護の心内はとても複雑であった。
「これ全部喰うのかよ、一人で」
「? もちろん。わざわざ俺にくれたんだぞ? それに折角作ってくれたんだから」
その回答に一護はますます下唇を食む。
後ろ手に隠した小箱をぎゅっと握った。
浅ましいなとは思う。目の前で本当に楽しそうにプレゼントを眺める浮竹をみると、
いかに自分が馬鹿馬鹿しい考えをしているかがよくわかる。
一護は浮竹に「食いすぎるなよ」とだけ言うと、早々にその場を立去った。
「ああ、作るんじゃなかったぜ」
文机に放り投げた箱をわざとらしく忌々しげに睨む。
睨んだところでどうにかなるわけでもないが。
「きっと喜ぶぞ!」なんてルキアが言うから、一緒にチョコレートを作ってはみたものの
結局は渡せずじまいだった。
もうルキアは白哉にチョコレートを渡したのだろうか。それを考えると今からでも渡しに行こうか、
と一瞬考えたものの、しかしもう日も沈んで随分経つ。
それからしばらく悩んだ末、一人で結局食べてしまおうという結論に至った。
箱を開けると、すこし歪な形をしたチョコレートが4,5個、こじんまりと入っていた。
料理なんて、ましてやお菓子なんて簡単に作れるわけがなく。
ルキア曰く、溶かして固めるだけなのに何故お前はそのようなものが作れるのだ。だそうだが、しかしそれでも一生懸命作ったつもりだ。
「柄にもねぇこと、するもんじゃねぇな」
ため息交じりに呟くと、一気にそれを口に放りこんだ。
「いーちーご」
と同時に耳元で囁く声がした。
それは聞き間違うはずもなく、浮竹の声で。
「っ!ふ、ふふぃふぁふぇふぁん!?」
すぐ後ろを振り向けばいつもと同じ微笑を浮かべた浮竹が居た。
驚いて咽そうになる一護を面白そうに浮竹は見つめる。
そういう時の浮竹の顔は、一護には苦手だった。
というよりは直視できなかった。或いは、好き、と言うのかもしれないが。
「飲み込んでから喋りなさい、一護」
苦笑交じりに言うと浮竹は、一護の頭を撫でる。
浮竹は、一見硬そうに見えて柔らかい髪質のその髪を触るのが好きで仕方なかった。
一護は恥ずかしいやら、苦しいやらで、脈打つ鼓動や赤くなる頬を押さえることが出来ずに
俯いてしまう。
「一護? 悪かったよ、脅かせてしまったのはあやまる。すまん」
浮竹の表情が困ったような笑みに変わる。
一護はそれを察して、ごくんとチョコレートを飲み込むと
「大丈夫だから」と咳き込みながら答えた。
「いやすまんな。朽木にな、一護が俺にチョコレートを作った、って聞いたもんだから」
食べにきたんだけれど、そこまで浮竹が言うといよいよ一護の顔が曇る。
そんな一護の変化に気付いて、机の上の空の箱を見やり「あー」と
ため息交じりに意味のない言葉を浮竹は発した。
「食っちまったのか…?」
一護はしょんぼりと瞳を伏せ頷いた。
「だってあんだけプレゼント貰ってんだし…そんなに沢山チョコばっかりあったって、あんたも困るだろ」
拗ねたように少しばかり唇を尖らせて一護は言う。
しばらくきょとんと一護を見つめていた浮竹は、
徐々にその口の両端を持ち上げて、ついにはあはははと声を上げて笑い出した。
「バカお前、そんなことを気にして、折角作ったそれを自分で食べたのか?」
本当に可笑しそうに笑うものだから、一護は恥ずかしさもあって
眉を顰めて浮竹を睨む。
その視線に気付いた浮竹はゴホンと咳払いをすると
まだ顔に残るにやけを振り払おうとはせずに一護を抱き締めた。
「そりゃ、同僚や部下たちから貰えるのはとても嬉しいが、一護、お前から貰うのが、一番嬉しいに決まっているだろう?」
少し体を離して一護を見つめる。離された距離が勿体無くて、
一護は浮竹の胸のあたりをぎゅっと掴んだ。
浮竹はクスッと微笑むとその手を包み込むように自分の手をのせる。
「それに、まだお前のチョコは食べられるだろう?」
その言葉に一護が疑問符を浮かべた瞬間、浮竹は一護の唇に自分のそれを深く重ねた。
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