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*京→浮一

たまに、いや、気付いてないだけで日常的にかもしれないけれど、
ちょっとしたことで嫉妬してしまうことがある。
たとえば、その人が女子と楽しそうにしゃべってたり、
手を貸したりしているのを見ると、女々しいとは思うけど
なんとも言えない気持ちになる。
だからといって、束縛することなんてしたくない、というよりは無理だ。

まだ部下の女子としゃべっているなら我慢が出来る。
問題は、京楽春水。
あれは一々首をつっこんでくる。
俺が護廷十三隊のなかで一番苦手な男だった。

何もかもお見通しだよ。

あれはそう目で、面白そうにしゃべりかけてくるのだ。
それでいて、俺の神経を逆撫でるように浮竹さんとぴったりくっついて
俺の入る隙を与えてはくれない。
浮竹さんも浮竹さんで、すっかり心を許しているものだから困ったものだ。




俺は一度深く息を吸い込んで、そして目の前の戸に手をかけた。


「失礼します、……京楽隊長」

「おっと、一護ちゃんじゃなァい。珍しいねェ。おつかい?」


中に入ると、締め切られた部屋は煙で満たされていた。
一瞬そのにおいにうっと喉を詰まらせる。
しかしすぐに、それは京楽の手に握られた細い煙管から
たちこめていることに気がついた。
珍しくどっかりと、隊首室のその椅子に座った京楽は面白そうに俺を見やると、
おちょくるようにそう言った。
意識せずとも眉間に力がこもる。


「そんなに威嚇しないでよォ、そんなにボクってこわいかなァ」


うーん、そう唸ると、顎に手を当てて大げさに考え込む仕草をする。
俺は、もう一分一秒でもここに居ることが嫌だったために、
京楽を無視してツカツカと目の前まで歩き、
そしてばらばらとまとまりなく書類が散らばる机の上にもって来た書類を放り投げた。


「あんた宛だ。…、んじゃ」


その書類についてなんの反応も示さないため、俺は踵を返した。


「ちょっとまったー」

「んだよ」


部屋を出ようとした瞬間に話しかけられて、
不機嫌に振り向いた。


「一護ちゃん、ボクさァ、君がうらやましくてしょうがないんだよ」


何のことを言っているのかわからず、俺は首をかしげる。
一体何がうらやましいと言うのだろう。
意図がわからず京楽を見ると、それは小さく微笑んで口を開いた。


「浮竹ねぇ、君の事ばっかり嬉しそうにしゃべるんだよ。
 昨日は一護がまんじゅう買ってきてくれたんだ、とか
 明日は一護と一緒に、清音に教えてもらった甘味処に行くんだ、とか
 俺のために任務サボって飛んできて処分くらった、…とか」


上げられた事柄がすべて事実だったために、
俺はびっくりして京楽を見つめる。
京楽は煙管の煙をくゆらせながら俺の驚いた顔を満足気に見た。


「ねぇ、一護ちゃん。浮竹がこんなに毎日楽しそうだったことって、
 学院時代…いや、ボクと知り合ってからもうかなりの時間が経つけど
 きっとないよ」

「京楽さん…あんた…」


京楽は人指し指を自分の唇に当てて微笑んだ。
内緒だよ。
そう、目が俺に語りかける。
俺は口を噤むしかなかった。


「だからねぇ、一護ちゃん。あれを任せたよ。」


そういいながら、右手を小さく上げてひらひらと俺に手を振った。
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