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例えば、背伸びをしたり、何かに乗れば、
この身長差は埋められるのに、
どうしてこの年齢差は埋らないのだろう。

いつも余裕があって、
いつも優しくて、
いつも気をまわしてくれて、
いつも頭を撫でてくれて、
いつも愛おしいと思わせてくれる、
いつになったらそんなあんたとつりあえる関係になるんだろう。

そう、後姿を見つめて思う。
足を進めるたびに左右に揺れる白い髪が、ふと止まる。


「一護?」


浮竹さんは振り返って訝しげにオレを見た。
いつの間にか、オレと浮竹さんとの距離が引き離されていた。
浮竹さんはしょうがないなと笑ってオレの立つ場所まで引き返してきた。


「疲れたか?だけど、あとは山本総隊長にコレを渡すだけだから」


だからあとちょっと我慢しろ、
懐に入れられた、手紙のように折りたたまれた書類をちらりと見せて
優しく微笑んだ。
そしてオレの頭をポンと叩くと「もうひと頑張りだからな」そう言って、
オレの手を取って、そして自分の手と絡ませた。
すこし驚いて浮竹さんを見上げると、浮竹さんは首をかしげてどうした?
と呟いた。
そして何か気付いたのか、ああ、と目を大きく開いた。


「なに、大丈夫さ。コレは元柳斎先生に今日の終わりまでに渡せればいいのだから。
 ようやく紅葉も色づいてきたし、散歩も兼ねてゆっくり一緒に歩いていこう」


やはりオレの驚きの意味を理解していなかったんだろう。
うんうん、やっぱり紅葉は綺麗だな!と一人楽しげに呟いている。
でもなんとなく、そんな浮竹さんを見て、
いまさら歳の差なんて気にしたって仕方ないんだろうと、そう気付いた。
埋められないなら、それ以上の時間を、ずっと一緒にすごせばいいのだ。


「ああ、一緒にな」


きっと今のオレならちゃんと笑えているだろう。
自分からも、指を絡めなおして言った。
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