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「痛ッ…」


その声に怪訝そうに、浮竹は後ろを振り向いた。


「どうした?」


先ほどまでさらさらと紙の上を走っていた筆を置き、
浮竹は言いながら一護のほうへと向き直る。


「あ、いや、ちょっと指切っただけだから…」


苦笑をもらして一護は言う。
書類で切ったのだろう、畳の上には五、六枚、
先ほど一護にチェックを頼んだそれが丁寧に置かれており、
そして一枚――多分その紙で切ったのであろう――は
一護の右手に握られていた。

ふと、一護の左手の人指し指に薄くにじむ赤い筋が、浮竹の目に入る。
すっぱりと切れてしまったのだろう、そのために傷は目立たないが、
そういう傷こそ痛く、また痒くもあり面倒なのだ。
浮竹は何を思ったかすっと一護の左手首を取ると、
そのままその赤い筋が出来た人指し指を口に含んだ。


「な…」


一護は驚いて一瞬身を引こうとしたが、
しかし浮竹が手首を離さないため、なんとなく動くことができない。
浮竹は口の中で、傷口を重点的にペロペロと舐めると、一護の目を見つめた。


「…ッ」


指を舐められている、それだけで心臓が飛び出しそうなのに、
目など見つめられたらたまったものではない。
一護は自分の顔が赤くなっていくのを感じた。

それからすぐにちゅっと音を立てて、浮竹が口から指を抜いた。
少しだけ、指と唇との間に糸が紡がれて。
その光景に色々と恥ずかしくなり、
これ以上ないほど一護は頬を染める。


「ほーら、止まった。絆創膏貼るか?」


そんな一護の顔色など全くお構いなしに、
浮竹は得意げに笑みを浮かべた。
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